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平成24年12月30日 年末おススメの青果#5/ながいも


 
 本日が卸売市場の「止め市」です。世間で言うところの仕事納めの日となります。

 年末おススメの青果、最終回は出荷量日本一の青森県の特産野菜「ながいも」です。画像はJA八戸の特別栽培品「みちのく男力(おとこぢから)」です。このネーミング、個人的にすごく気に入っています。

 どうして年末商材にながいも?と思われるかもしれませんが、東北地方(おもに南部)では13日に山芋をすりおろして食べる「三日とろろ」という風習があるのです。由来は諸説ありますが、お酒の飲みすぎ、おせちやお餅の食べ過ぎで疲れた胃をいたわるために、滋養があり消化によい「とろろ」を食べたのが始まりではないでしょうか。「三日とろろ」ぜひお試しください。

 なお、「みちのく男力(おとこぢから)」は減肥減農の特別栽培品のため、生産量が少ない限定品です。青森市内では、一部の小売店でしか扱っていません。見かけたらぜひお買い求めくださいね。

 今日は最終営業日でバタバタしているので、この辺で終わりにします。一年間、ありがとうございました。来年もみなさんにとってよい年でありますことをお祈りしています。


 
平成24年12月29日 年末おススメの青果#4/みかん

 
 
 年末おススメの青果、第4回は「みかん」です。画像はブランドみかんで名高い静岡県JAみっかびの「青島みかん」です。

 日本で最も生産量の多いくだものが「みかん」です。年によって豊凶の差はありますが、毎年おおむね80万トンが出荷されています。わが青森県が誇る「りんご」は第2位(70万トン前後)、この2品目で全体(300万トン)の半分を占めています。ちなみに、第3位はスイカ(農水省の統計では野菜に分類されていますが…)で30万トン、第4位は梨(洋ナシを除く)で25万トンです。それ以下の、柿、ぶどう、メロン、いちご、桃はいずれも15万トン前後です。「みかん」は日本人にとって最も身近な「国産」のくだものです(家計消費でみると最も購入量が多いくだものは
「バナナ」なんです)。

 温室栽培される「ハウスみかん」のおかげで、一年中みかんを食べられるようになりましたが、手ごろな価格で購入できるのは秋から冬に出回る露地栽培のものです。「みかん」は収穫や出荷の時期によって品種が異なり、食味も大きく変わります。9月下旬の青くて酸っぱいみかんに閉口したり、同じお店で、同じ産地、同じ銘柄のものを買ったのに、以前と味が違うと感じたことがある方も多いのではないでしょうか?

 それは作型(品種)が変わったからです。みかんは出回る時期によって、大きく4つの作型に分けられます。

 最も早いのが「極早生(ごくわせ)」で、9月から10月に出回ります。九州が主産地で、日南1号(原産地:宮崎県)や上野早生(同:佐賀県)、岩崎早生(同:長崎県)などの品種があります。果皮に青みが残り、糖度が低く酸味が強いため、はっきり言うと食味はいまひとつです。直前まで出回っていた温室栽培のハウスみかんとの味のギャップは大きいです。日本人は「旬」と同様に「走り(出始め)」のものを珍重するで、産地が早期出荷を競った時期もありましたが、9月は他に梨やぶどう、柿などのおいしいくだものがふんだんにあるため、価値と価格が見合わない「極早生みかん」の評価は徐々に下がりつつあります。改植(木の植え替え)のタイミングで生産に見切りをつける産地も増えています。

 おいしいみかんは、10月から11月にかけて出回る「早生(わせ)」からになります。主力の宮川早生(原産地:福岡県)はわが国で最も栽培されているメジャー品種です。静岡県で登録された興津早生も「早生」の代表格です。「極早生」から「早生」に切り替わると、卸売市場の相場も約2倍になります。それほど味の差があるということです。糖度も増してようやく「みかん」らしい「みかん」になりますが、酸が抜けることで日持ちが悪くなり、気温が高い暖秋の年は果実の痛みが出やすく、流通関係者の悩みの種となります。

 現在、最も流通しているのが「中生(普通)」みかんです。南柑20号(同:愛媛県)や大津4号(同:神奈川県)が有名です。「早生」よりも果皮の色が濃く、酸味も抜けて食べやすいみかんになります。この時期の競合果実はりんごだけとなり、需要や市場の相場も安定します。

 そして、年明けから増えてくるのが「晩生」みかんです。12月から3月まで出回ります。「晩生」=「青島」というくらい青島みかん(同:静岡県)のシェアは高く、栽培面積は宮川早生に次ぐ第2位です。果皮、内袋ともに厚く、乾燥に強いため長期保存に向いた品種です。外観は扁平で大玉、ボリューム感のある甘いみかんです。個人的には正月のみかんと言えば「三ケ日の青島」というイメージが強いです。

 みかんは年ごとの豊凶の差が激しい果実で、豊作の「表年」と不作の「裏年」が交互にやってきます。みかんは実を成らせながら翌年の花芽の準備をします。表年は着果数が多く、実の成り過ぎで木が疲弊してしまうので、翌年の花芽が少なくなり不作になるのです。これを「隔年結果」といいます。今年は「裏年」にあたるため、出荷量は前年よりも少なく、卸売市場の相場も前年の23割高となっています。ちなみに過去6年間の平均出荷量は「表年」で89万トン、「裏年」で75万トンでした。以前は表年に100万トンを超えることもあり、価格が大暴落して農家の経営を圧迫しました。最近は隔年結果を抑制するため、早い段階で花芽を摘んだり(摘蕾)、成りすぎた実を落としたり(摘果)するなど様々な取り組みがなされ、年ごとの格差は縮小する傾向にあります(たいへんな仕事です)。や出荷の時期によって品種が異なり、食味も大きく変わります。9月下旬ごろの青くて酸っぱいみかんに閉口したり、同じお店で、同じ産地、同じ銘柄のものを買ったのに、以前と味が違うと感じたことがある方も多いのではないでしょうか?

それは、品種(作型)が変わったからです。みかんは出回る時期によって、大きく4つの作型に分けられます。


 よく「1箱に何個入っているの?」と聞かれますが、ダンボールの横の「階級」欄にサイズの表示がありますのでそれを見てください。みかんは重量で選別し箱詰めされており、3Lから2Sまで6階級に分かれています。みなさんがイメージする一般的なみかんの大きさはMで、1箱(10キロ)に100個前後入っています。それより小さいSは120個前後、2Sは140160個入っています。Mより大きいものは、Lで80個前後、2Lで60個前後、3Lだと5040個となります。

 最近は箱売りも5キロ入りが主流になってきましたが、10キロに比べると割高ですので、お正月くらいはどーんと10キロの「大人買い」をお薦めします。特に「晩生」の青島みかんは日持ちします。1月いっぱいかけて食べるつもりでどうぞ!


 
平成24年12月28日 年末おススメの青果#3/ふかうら雪にんじん

 
 
 年末おススメの青果、第3回は青森県産の越冬人参「ふかうら雪人参」です。生産地の深浦町は青森県の西南部に位置し、圃場は世界遺産の「白神山地」山麓の日本海に面した丘陵地帯に広がります。対馬海流の影響で県内では比較的温暖な地域であり、沿岸部は冬期間の降雪量も少なく、積雪量はさほど多くありません。

 青森県の露地栽培の人参は、7月に播種し、1011月に収穫するのが一般的です。「ふかうら雪人参」は秋に収穫適期を迎えた人参を、そのまま圃場に残して越冬させます。雪が融けてから収穫すれば冬越しの春堀り人参ですが、「ふかうら雪人参」は冬期間に雪が積もった圃場から掘り出して出荷しています。別名「冬堀り人参」と呼ばれるゆえんです。

 収穫作業は圃場の除雪から始まります。積もった雪を寄せ、その後、土を掘り返します。ここまではトラクターで行えますが、最後の収穫は全て手作業です。約20人の作業員が腰をかがめ、一本、一本土の中から人参を拾っていくのです。吹雪の時はほんとうに大変な仕事です。過酷な条件での収穫作業のため、一日に出荷できる数量も限界があり、不安定です。

 当初は、冬の間の収入を確保するための苦肉の策として始まり、ほとんどが大手メーカーの人参ジュースの搾汁用原料として出荷されていました。そのため、西洋人参特有のカロテン臭が少なく、中心部まで発色する大玉系の品種(浜紅、ひとみ五寸など)が投入されていましたが、ひび割れや頸部の汚れ、変形など外観に難があり、生食用(小売店での販売向け)としてはほとんど出荷されませんでした。長期間、雪の下で水分を吸っているため、外皮にぬめりがあり、黒シミも発生しやすく、同時期に出回る関東産や九州産の人参よりも明らかに見劣りしていたのです。

 10年ほど前から生協の共同購入で取り扱われるようになり、デメリット(外観上の難点)表示をしつつ「優れた食味」と「真冬に雪の下から掘り出す」というイメージを訴求して販売したところ、徐々に注文が増え、数年後にはマスコミで取り上げられるようになって一気にブレイクしました。

 「ふかうら雪人参」の特徴を一言で言うと「見た目は悪いが味は抜群」です。植物は氷点下になると自己の組織内の水分が凍結により細胞壁が損壊するのを防ぐため、でんぷん質を糖化し凝固点を下げようとします。その結果、糖度が増大し食味がよくなります。同様の方法で栽培された小松菜は「寒締め菜」の名で知られていますよね。

 スーパーで試食販売を行う際には、お客さんに生のままジューサーにかけた「人参ジュース」を飲んでもらっています。これが絶品なのです。色は濃い橙色で、まさに「人参ジュース」なんですが、味は「りんごジュース?」と錯覚するほどの甘さ。人参の平均的な糖度は6度前後ですが、「ふかうら雪人参」は810度です。以前、産地で計測した時は12度あった時もありました。長い冬の間、雪の下の土の中でじっと収穫を待つうちに人参が「甘熟」するのです。

 青森市内のほとんどのスーパーで取り扱っています。「JAつがるにしきた・ふかうら雪人参」と印刷された袋が目印。紛らわしい名前の類似商品もあるので注意してください。小売価格は1袋400500g(23本入り)で150200円です。千葉県産の向陽人参よりも若干高めですが、それに見合った価値はあると思います。

 青森のお正月料理に欠かせないのが「人参のこあえ」。生のたらこと細切りにした人参を煮た素朴な郷土料理ですが、今年はぜひ「ふかうら雪人参」で作ってみてください。一味違いますよ!


 
平成24年12月27日 年末おススメの青果#2/スチューベン

 
 
 年末おススメの青果、第2回は青森県の特産ぶどう「スチューベン」。

 原産地はアメリカのニューヨーク、1954年に日本に渡来し、ぶどうとしては珍しく温暖な気候を嫌うため、青森県の津軽地方で栽培が広がりました。特にニューヨークと同緯度の鶴田町で盛んに栽培されています。

 一般的にぶどうは貯蔵性が低く、時間の経過とともに品質が劣化するデリケートなくだものです。スーパーでも、見切り品のコーナーで、しなびたり、ツユが垂れたり、粒が落ちかかったぶどうが並んでいるのを見かけますよね。仏壇にお供えしておくとすぐに小バエが寄ってくるし

 ぶどうといえば夏から秋にかけてが旬の果物ですが、青森県特産のスチューベンは、雪深い今の時期が出荷の最盛期となります。もちろん、雪の中で収穫しているわけではありません。とれたのは3か月前の9月下旬以降。スチューベンの最大の特徴は極めて高い貯蔵性にあります。小粒で果皮が固く、実がしっかりしていることから、品質を損なうことなく、長期間の低温貯蔵が可能なのです(翌年の3月まで出荷されるんです!)。3ヶ月間冷蔵施設で貯蔵し、熟成させたものを現在出荷しているのです。

 スチューベンのもう一つの特徴は「驚くほどの甘さ」です。けっして大げさに言っているわけではなく、糖度はなんと2023度にも達します。巨峰が18度前後、シャインマスカットでも20度前後と言われていることから、そのシビれるような甘さがわかると思います。香りや酸味、風味は及びませんが、「甘さ」だけはどんな高級ぶどうにも負けません(笑)

 クリスマスからお正月にかけては国産ぶどうの端境期になるため、小売店の店頭に並ぶのは、南半球からの輸入品で占められてしまいます。年末年始に食べられる唯一の国産ぶどうがスチューベンなのです。見た目は地味で、野暮ったい感じです。今はやりの大粒系でもなく、皮も吐き出さなければなりませんが、あごの付け根が痛くなるほどの甘さは、まさに厳寒の青森の冬の味です。スチューベンは年末年始の贈答用の果物として、青森県では非常に重宝されてきました。お年始の手土産に、久しぶりにスチューベンをお持ちになってはいかがでしょうか?

 画像は贈答用の化粧箱。2キロ入りで小売価格は1,0002,000円(等級や房数によって差があります)。1箱に67房入ったものが人気です。青森市内ではどこのスーパーでも売っています。ちなみに、今年は平年よりも安めの相場となっています。


 
平成24年12月26日 年末おススメの青果#1/三浦だいこん

 
 
 年の瀬を迎え、卸売市場にはこの時期ならではの野菜や果物が見られるようになりました。また、年末年始には欠かせない定番商材も順調に入荷しています。ということで、止め市の30日まで「年末おススメ」の青果を紹介していきます。

 1回目は「三浦だいこん」。その名の通り神奈川県の三浦半島特産のだいこんです。昭和55年ごろまでは、冬の大根といえば三浦大根を指すぐらいポピュラーな品種でしたが、現在は収穫作業が楽な青首大根にその地位を譲り、だいこん全体の生産量に占める割合は1%未満となってしまった希少品種です。卸売市場へは年末需要期の12月第4週にしか出荷されません。

 市場へ出荷される際は、画像のようにポリ袋に入れられ紐で縛って荷造りされます。1袋の標準重量は10キロとなっていますが、実際はそれ以上です。紐を素手で持つと指がちぎれそうなくらいです。ちなみに、おなじみの青首だいこんはダンボール箱に詰められて出荷されます。画面中央のむき出しで袋の上に乗っかっているのが千葉県産の青首だいこんです。

 三浦だいこんは、葉の付け根が細く、根の先に行くに従って太くなり、尻が丸く止まる「中太り」の紡錘形で、寸胴型で総太りの青首だいこんとは形状が大きく異なります。首から下が完全に地中に潜るため、青首だいこんのように首が青くなりません。練馬だいこんも同様です。1本あたりの標準重量も23キロと青首(11.3キロ)の2倍以上です。重い上に、くさびのように地中に根を張っているため、抜き取るのに青首の34倍の力が必要です(以前、NHKの「ためしてガッテン」で計測していました)。

 肉質は極めて緻密で見た目よりも重量感があります。青森ではおせち料理の「なます」用として根強い人気があります。荷崩れしにくく、辛みが強くコクがあるため、関東では風味を生かしたおでんや煮物にすることが多いようです。好みもあるでしょうが、食味は青首よりも優れていると思います。

 気になるお値段です。青首はその時々の需給バランスで価格が変動しますが、三浦は生産量を維持するため毎年ほぼ一定で安定しています。キロ単価では青首の1.52倍です。1本売りになると青首の3倍以上の売価となります。

 今年の年末の青首の小売価格はLサイズ(1キロ)1200円前後と見込まれますが、三浦は2Lサイズ(2.5キロ)1本600円前後となるでしょう。スーパーでは、買いやすいように1/21/3にカットして販売するところも多いです。年末年始にしか出回らないほんとうの希少品です。ぜひ今年は三浦だいこんの「なます」や「おでん」を試してみてください。


 
平成24年12月26日 猛吹雪!

 
 
 シバレてます。今朝の最低気温は氷点下8℃。日中の予想最高気温も氷点下5℃。この冬一番の冷え込みです。外は猛吹雪で視界不良。卸売場のシャッターも全て下ろして閉じこもってます。


 野菜でも極端に寒さに弱い物があり、この時期は商品管理に神経を使います。特に茄子は寒気にあたると一発でダメになってしまうので、防寒対策で冷蔵庫に入れています(もちろん冷気は切ってますよ)。



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